住宅の適正予算、概算なら調べる方法はたくさんあります。フラット35のシミュレーションサイトなどのwebや、スマホアプリも充実しています。

「住宅ローンはいくらぐらいまで借りるのが適正?」というのは、借入期間(年齢)、借りる人の年収でだいたい計算できます。

貸してもいい額の判断として、金融機関は
「返済比率(返済負担率)」を用います。

返済比率は、年収に占める年間返済額の割合のことですが、
貸す側(金融機関)と借りる側(あなた)によって使い方が異なります。

それぞれ説明していきますね。


まずは金融機関です。
金融機関は、実際に住宅ローンに適用されるものとは違う、
「審査のための金利」を用いてあなたが借りられる上限額を計算します。

審査金利は金融機関によって異なり、だいたいは3~4%に収まっていますが、
金利が低い現在は、金融機関によっては変動金利や10年固定の店頭金利とか、
なかには変動金利の実効金利そのものという場合もあります。

実行金利は以下のように計算され、たとえば0.775%となります。
(店頭金利2.475%-金利優遇1.70%=実行金利0.775%)

ハウスメーカーやマンションデベロッパーなどは金融機関ごとの審査金利を把握しています。
金利が下がればそれだけ借りられる金額が増えるので、
家の販売価格を上げたいなら、審査金利がゆるい(低い)方で計算すれば良いのです。

実際に計算してみます。

たとえばA銀行は返済比率をこのように設定しいます。
年収~300万円/返済比率25%、~400万円/30%、~600万円/35%、600万円~40%

年収800万円の場合、A銀行では返済比率は40%で計算します。
審査金利4.0%、35年返済の場合、借入限度額は6,023万円になります。
審査金利が3.0%なら、35年返済の場合、借入限度額は6,929万円になります。

このケースなら、「収入面はまったく問題ありませんね。」ということになります。
でも、年収800万円で7,000万円も借りるのは予算オーバー気味です。
(それは借りる側の方で説明します。)

変動金利も見てみます。
変動金利を審査金利に適用する場合などは、収入に対して借入希望額が大きい場合です。
たとえば年収400万円の場合は返済比率が30%となり、
審査金利3.0%、35年返済の場合、借入限度額は2,598万円になります。
0.775%で計算すると3,724万円と、1,000万円以上も借入限度額が上がります。

後者のケースでは世帯収入の上昇を見込んでのことかもしれませんが、
収入に見合った、無理なく返済できる金額であるかどうかは疑問が残ります。
実際に借りる金利が変動金利や5年などの短期間固定ですと、
金利が上がったときに返済額も上がり、返済がキビしくなるかもしれません。

「無理なく返していけるかどうか」を考えることが不可欠です。

ということで、
次は借りる側の返済比率を見ていきます。

年収800万円の人が、5,000万円借りるとしましょう。
シミュレーションのため、金利変動がない全期間固定金利1.38%で借りた場合を見てみます。
毎月の返済額は150,170円、返済負担率は22.5%になります。

適正な範囲は20~25%で見るケースが多いので、
一応は適正額に収まっているととらえます。

ただ、年収800万円なら手取りが600万円程となり、手取りに対する返済比率は30%になります。
30%のローン、負担感は結構大きいと思います。
住宅ローンのほかにも住居費(固定資産税や管理費・修繕積立金・駐車場など)
がかかることも考慮する必要があります。

昇給や配偶者の収入を考慮していませんが、当面世帯収入のUPが期待できない場合、
頭金を多めに入れて借入額を下げるか、物件価格そのものを見直すことも考えられますね。
あとは変動や10年固定などの低い金利とミックスしたりして、
トータルで返済負担を下げることも検討の価値があります。

参考に、実際に借りている人たちはどの程度借りているのか?を見てみます。
国交省が発表している「平成28年度 住宅市場動向調査」を見てみます。

場所、物件、新築か中古などによって違いがありますが、ここでは首都圏の新築物件を見てみます。
 注文住宅:物件価格4,566万円、借入金額3,191万円、年収726万円、返済比率16.2%
 分譲住宅:物件価格4,423万円、借入金額2,694万円、年収753万円、返済比率18.4%

住宅金融支援機構によるフラット35利用者(2015年度)の場合は以下のとおりです。
 注文住宅:物件価格4,620万円、借入金額3,982万円、年収696万円、返済比率24.1%
 建売住宅:物件価格3,569万円、借入金額3,121万円、年収595万円、返済比率22.2%
 マンション:物件価格4,827万円、借入金額3,812万円、年収820万円、返済比率21.9%

国交省のデータでは借入額が少なく、変動金利なども含まれるため、返済比率は20%弱。
一方で住宅金融支援機構の方は、国交省のデータに比較して高めです。

返済比率は家計の返済余力を見る一つの尺度で、万能ではありません。

大切なのは「いくら借りられるか」ではなく、
「ライフプランを踏まえて無理のないローンを組む」ことです。

将来の出費に備えてゆとりを持ったローンを組み、余裕ができたら繰り上げ返済を活用し、定年までに完済する返済計画を考えてほしいと思います。