不動産を見学に行ったことがある人なら経験があるかと思いますが、住宅展示場やモデルルームでは、変動金利で多額のローンを組む見積もりが出てくることが多いです。

実際約5割の人が変動金利で借りています。
(住宅金融支援機構「2017年12月 民間住宅ローンの利用実態調査」)

変動金利は返済額が低くなるので、価格が高い住宅でも売りやすく販売業者にとってはメリットがあるのですが、果たして借りる方はどうでしょうか。

返済額が低いのは魅力的なんですが、将来金利が上昇すれば返済額が上がってしまうリスクを負うことになるわけです。低金利がこれだけ続くと金利の上昇は想像しにくいですが、35年と長い付き合いになる住宅ローンだからこそ、将来の金利上昇も考えてローンを組みたいところです。

ミックスローンという選択

知らない人も結構いるのですが、住宅ローンは1種類だけではなく、2種類の金利を組み合わせて借りることができるのです。
変動と全期間固定、変動と期間固定、期間固定と全期間固定など目的に応じて組み合わせることができます。

この組み合わせは「ミックスローン」と呼ばれ、金利上昇のリスクを抑えつつ、低金利のメリットを享受できるので、上手に使えば賢い借り方ができるのです。

具体的な使い方を見てみましょう。

いろいろと物件を探した結果、5,500万円の中古マンションを買う決断をしたあなた。
貯金は1,000万円、その中から諸費用350万円を充てることにします。
それに加え、ラッキーにも親から500万円の住宅資金贈与を受けることができそうです。

借入は5,000万円。
当面(6か月~1年程度)の生活費に困らない程度の金額+αを残しておきたいところです。
手元に650万円残れば、家具や家電、引っ越し代、仮住まい費用などにも充当できます。

変動金利で借りた場合を試算してみる

5,000万円を全額、変動金利で組んだ場合を見てみます。
(金利0.625%、35年、元利均等、ボーナス返済なし)
毎月の返済額は132,574円、年間返済額は159万円です。

変動金利は完済まで総返済額がわかりません。
見積でも総返済額を記載することはなく、金利の上昇がない前提で計算されます

まずは返済負担率が適正な範囲に収まっているか確認したいところです。
参考:適正な住宅ローン金額の目安を知る

そして将来の金利上昇にきちんと耐えられるか、将来の家計を見据えてください。
参考:住宅資金計画が大切な理由

金利が上昇した場合、どうなるかを見てみましょう。
たとえば購入5年後に1%、さらに10年後に1%金利が上がった場合、返済月額は171,266円となり、返済当初より38,692円も増えてしまいます。

以後金利が変わらないとすると、総返済額は6,850万円となり、金利上昇がなかった場合と比較し、1,390万円も増えることになります。

毎月の返済額が約4万円も増えたら、家計へのインパクトは結構大きいのではないでしょうか。
その時にきちんと返していけるか、販売業者や銀行が想定してくれない分、自分で考える必要があります。

2018年5月現在フラット35の金利1.35%(21年以上、借入9割以下、団信込み)で借りた場合の返済月額が149,445円、総返済額が6,277万円となるので、こちらと比較しても返済月額は21,821円、総返済額は573万円も多くなってしまいます。

金利が上がってから固定金利に借り換えようとしても、固定の方が変動より先に高くなります。
変動金利で借りるなら、金利上昇も踏まえて返済資金を貯蓄していくことが欠かせません
参考:金利が上がってきたら変動から固定に変えるのは正解?

ミックスローンで借りた場合を試算してみる

変動の金利上昇リスクを回避したいけど、低金利は魅力的で捨てがたい。
そういう場合は2つの金利をミックスして借りることも考えてみると良いかと思います。

夫のみで2本のローンを借りることもできますが、共働きなら夫婦で別々のローンを借りることも検討できます。
参考:夫婦で組む住宅ローンは共働き世帯にお得?

夫婦で借りればそれぞれが住宅ローン控除を受けられるため、収入によっては夫1人で借りるよりも多く税金が返ってくる可能性があるので、合わせて検討したいところです。

夫婦それぞれが別のローンを借りる場合を試算してみます。

世帯年収の割合や今後の妻の働き方を踏まえ、借入の割合を決めます。

5,000万円のうち、3,500万円を夫、1,500万円を妻が借りるということで見てみましょう。

パターン1
 夫 全期間固定1.5%、35年、元利均等、ボーナス返済なし
 妻 変動0.625%、35年、元利均等、ボーナス返済なし
 毎月の返済額は146,937円(夫107,165円、妻39,772円)

固めに見積もって固定金利を多くしたパターンです。
返済月額は全額変動金利で借りるより14,363円多くなりますが、変動の割合は3割のため、多少の金利上昇があっても十分に対応できるという判断です。

繰上返済を実施すれば、通常は30年も経たずに完済できることが多いため、全期間固定の代わりに20年や30年固定金利などを活用することも考えられます。
そうすれば、金利上昇のリスクをほぼ回避でき、それでいて全期間固定よりも低い金利で同等のメリットを得られることになります。

パターン2
 夫 変動0.625%、35年、元利均等、ボーナス返済なし
 妻 10年固定変動0.8%(当初優遇)、35年、元利均等、ボーナス返済なし
 毎月の返済額は133,761(夫92,802円、妻40,959円)

世帯収入の上昇と妻のフルタイム復帰を見込んで変動金利を多くしたパターンです。
変動金利の割合が大きいため、全額変動金利で借りた場合とほとんど変わりません。
低金利のメリットはかなり受けられるますが、当然、金利上昇リスクもそれなりに高くなります。

固定金利の割合が少ない場合、金利上昇や、金利優遇が下がる固定期間の終了時に備え、ある程度の準備が必要になります。

今後の夫婦の働き方や教育資金の準備などを踏まえ、住宅ローンの返済が家計を圧迫し過ぎないように考えることが、安心して住宅を購入しながらも、お得なローンを組めるためのポイントです。

それを十分想定したうえで、ミックスローンも上手く活用してください。